クロノタイプ診断で英語学習のタイミングを最適化!体内時計を活かす科学的勉強法

はじめに

「英語の勉強をしているけど、なかなか成果が出ない…」「朝型に挑戦してみても挫折しがち…」と悩んだことはありませんか?実は、英語学習の成果を左右する大きなカギは「いつ学ぶか」。遺伝子レベルで決まるクロノタイプ(朝型/夜型/中間型など)を無視して頑張ると、体力だけを消耗して、成果が伸び悩むことがあります。

そこで今回は、MEQ‐SA(Morningness–Eveningness Questionnaire:朝型夜型質問紙)と、2024年11月にセイコーグループが公開した「クロノタイプ診断ツール」を活用し、睡眠・クロノタイプを味方にする具体的な英語学習法をご紹介します。さらに、パワーナップ(短時間仮眠)やエビングハウスの忘却曲線を組み合わせ、飛躍的に学習効率が上がる勉強法をご紹介します。

クロノタイプ診断:MEQ‐SAとセイコーグループの新ツール

クロノタイプとは

人間は生まれつき、何時ごろ眠くなりやすいか、何時ごろ頭が冴えやすいかのリズム(体内時計)を持っており、これをクロノタイプと呼びます。英語学習を行うとき、自分の体内時計に合う時間帯を選ぶだけで、集中力と記憶の定着が大きく変わるのです。

MEQ‐SA(朝型夜型質問紙)

MEQ-SA(朝型夜型質問紙)は、国立精神・神経医療研究センターが提供する自己診断ツールです。19の質問項目に答えることで、個人のクロノタイプ(朝型、夜型などの体内時計のリズム)を知ることができます。クロノタイプは、下記の5つのタイプに分類されます。

【超朝型】 就寝:19~21時 / 起床:3~5時 / 集中力ピーク:5~10時
【朝型】 就寝:21~23時 / 起床:5~7時 / 集中力ピーク:8~12時
【中間型】 就寝:23時前後 / 起床:7~9時 / 集中力ピーク:10~14時
【夜型】 就寝:24~1時 / 起床:9~10時 / 集中力ピーク:16~20時
【超夜型】 就寝:3~6時 / 起床:10~13時 / 集中力ピーク:21~25時

得点によって、以下の5つのクロノタイプに分類されます。

16~30点:明らかな夜型
31~41点:適度の夜型
42~58点:中間型
59~69点:適度の朝型
70~86点:明らかな朝型

セイコーグループ「クロノタイプ診断ツール」

セイコーグループの「クロノタイプ診断ツール」は、セイコーグループと体内時計を研究する専門家(千葉大学大学院の一川誠教授など)が開発した最新の自己診断ツールです。19の質問項目に答えることで、個人のクロノタイプ(朝型、夜型などの体内時計のリズム)を知ることができます。クロノタイプは以下の5つのタイプに分類されます。

【強い朝型】 起床:午前早め/ 集中力ピーク:起床後1~5時間
【朝型】 起床:午前7時ごろまで / 集中力ピーク:午前8時~正午
【中間型】 起床:午前8時ごろまで / 集中力ピーク:午前遅め~午後早め(3~4時間程度)
【夜型】 起床:午前9時ごろまで/ 集中力ピーク:午後遅め
【強い夜型】 起床:午前遅め(午前10時以降) / 集中力ピーク:深夜帯

パワーナップの効果

NASAの研究が示す短時間仮眠の効果

NASAの実験によれば、たった26分の仮眠で以下のようにパフォーマンスが大幅UPしたと報告されています。

【視覚反応速度】(目で見て素早く反応する力):約54%向上

【論理思考力】 約34%アップ

パワーナップの効果は、「脳に溜まった疲れを一時的に大掃除する」ようなイメージです。短い昼寝をするだけで脳が休まり、注意力や集中力が回復します。

【脳が疲れる仕組みとパワーナップ】

・長時間起きていると、脳内でアデノシンという疲労物質が増えて、集中力が下がる
・パワーナップ(10~20分程度)で一時的に脳が休むと、このアデノシンがリセットされ、神経が再び元気に

短時間睡眠で記憶が強化される仕組み

昼寝中に入る浅い眠りのステージ(N2期)では、脳の「海馬」と「新皮質」の間で記憶の受け渡しが進むと考えられています。

海馬:新しい情報を一時的に保存する場所
新皮質:長期的に情報を保管する場所

上記の記憶の受け渡しをスムーズにするのが睡眠紡錘波(sleep spindles)と呼ばれる脳波で、パワーナップ中にこの脳波が出ると、新しい英単語や文法が長期記憶に転送されやすいと言われています。

【パワーナップで気をつけるべきポイント】

10~20分程度がベスト(30分以上の昼寝は深い睡眠に入り、寝起きが悪くなるため)
・昼寝後にカフェインを摂る
・明るい光を浴びると、素早くシャキッと目覚められる

エビングハウスの忘却曲線:最適なタイミングでの復習する間隔反復学習

エビングハウスの忘却曲線とは

ヘルマン・エビングハウスが19世紀末に示した理論で、学習した内容は24時間後に約半分1ヶ月後には2割程度しか保持されなくなることが分かっています。英単語や文法も、放っておくとすぐに忘れてしまいます。

間隔反復学習で記憶を維持

こうした忘却を防ぐために有効なのが、間隔反復学習です。間隔反復学習(Spaced Repetition)は、学習した内容を忘れにくくするための効果的な学習法です。この方法は、心理学者エビングハウスの「忘却曲線」に基づいており、時間が経つにつれて人間が情報を忘れていくことを考慮して復習するタイミングを見極めます。学習直後だけでなく、定期的に学習内容思い出す作業を定期的に行うことで、記憶を長期記憶として定着させることができます。

例①:学習後1日目、1週間後、2~3週間後…と、忘れる直前に復習させる → 長期記憶に定着
例②:就寝前の暗記+翌朝5分で軽く確認するだけでも、初期急激な忘却を抑制できる

AnkiやSupermemoの活用

AnkiやSuperMemoは、この間隔反復学習を自動的に管理してくれるツールです。

Anki:使いやすく利用者が多い。短期的な学習に適している
SuperMemo:長期的な学習や読書とあわせて学習ができる

上記のように、それぞれの得意分野が異なります。ご自身の学習スタイルや目的に合ったものを活用しましょう。

パワーナップ×間隔反復学習を取り入れたクロノタイプ別学習法

モデルスケジュール

(1) 午前中(9:00-12:00):新しい単語・文法を集中学習
(2) 昼休み(13:00-14:00):10~20分のパワーナップ→脳がリフレッシュ
(3) 夕方(15:00-17:00):第1回復習(忘れる前に再チェック)
(4) 就寝前(22:00-23:00):軽い暗記(翌朝に備え)
(5) 翌朝:5分復習→ エビングハウス初期急速忘却を阻止

東京大学の研究では、こうしたモデルを導入した学生グループが従来法より約62%も試験成績がアップしたとの報告があります。Googleやソフトバンクでもパワーナップや間隔反復学習を取り入れ、新しいスキルを従来の半分程度の期間で習得できたという報告があります。

クロノタイプ別の工夫

朝型:朝~午前を中心に(1)の新規学習 / パワーナップは昼 / 夜は早寝
夜型:夕方~深夜に(1)を実施 / 昼休みなどでパワーナップ / 朝は軽い復習だけ
中間型:午前8時~午後4時がメイン / 昼に仮眠 / 夕方に復習

成功事例:クロノタイプ別に学習プランを作成し、英語力UP

3ヶ月でTOEIC 470点→740点:早川さん(朝型)の学習スケジュール

・起床5時半 → 6~7時に英語ニュース読解、シャドーイング、単語の復習
・昼にパワーナップ15分→午後の仕事も集中
・22時の就寝前に単語やフレーズの学習→翌朝5分復習
3ヶ月でTOEICスコアが+270点アップ!朝方が合うとわかってから生活リズムを変更し、仕事のパフォーマンスも改善しました。

3ヶ月でVERSANT 37点→51点:森山さん(夜型)の学習スケジュール

・夜型で朝が極端に苦手 → むしろ夕方~深夜に集中
・昼休み5分仮眠→仮眠の前後に単語学習、夕方から多読、発音矯正、オンライン英会話
・就寝前に瞬間英作文
3ヶ月でVERSANTスコアが14点アップ!「夕方から頭が冴えるので、学習が捗った」という感想をいただきました。

WPM(読解速度)が13ポイントアップ :筆者(中間型)の学習時間の比較

・MEQ‐SAで45点、セイコーのクロノタイプ診断ツールのいずれも「中間型」→ 午前10時~午後2時が集中のピーク
・WPM(読解速度)を同日の午前8時と午後2時に測定。
WPMが195→208に上昇。時間帯を変えるだけで、読解速度が大きく変わり、自分の体内リズムに合った学習をする大切さを改めて実感しました。

WPM(Words Per Minute)は、1分間に読める単語数を示す指標で、英語の読解速度を測定するために広く使用されています。WPMを測定することで、自分の読解力を客観的に評価し、改善点を見つけることができます。

まとめと次のアクション

①クロノタイプ診断

MEQ‐SA のセルフチェックまたはセイコーグループの診断ツールで朝型・夜型・中間型を判定
・強い朝型・強い夜型など自分のタイプを踏まえて学習時間帯をデザイン

②パワーナップで昼下がりをリセット

・10~20分の仮眠で脳疲労を軽減 → 午後や夕方の勉強を高効率

③エビングハウスの忘却曲線&間隔反復

・Day1, Day7, Day16, Day35といった復習タイミングを守る
・就寝前の暗記+翌朝5分復習で初期急激な忘却を防止

④学習サイクルを一度見直す

・朝型なら早朝に集中学習 / 夜型なら夕方~深夜 / 中間型なら10~14時中心
・パワーナップ&忘却曲線で短時間でも成果UP

英語学習は「量」だけでなく、「いつ・どんな睡眠リズムで学ぶか」が重要。ぜひ、クロノタイプパワーナップ、そしてエビングハウスの忘却曲線に基づく間隔反復学習を組み合わせて、あなたの英語力を最短ルートで伸ばしましょう。忙しいビジネスパーソンや受験生でも、効率よく英語学習を進められるようになります。ぜひお試しください!

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プロフィール

  • 専属パーソナルコーチ

    瀧内俊之
    (Toshiyuki Takiuchi)

    関西学院大学で英語習得学、英語音声学、英語文化コミュニケーション学について学ぶ。米国のエモリー大学で演劇科を専攻し、プレゼンの手法、舞台演出の研究に従事。帰国後は、ビジネスシーンやハリウッド俳優の通訳、NHKドラマで英語指導を担当。その後、大手英語コーチングスクールにて指導経験を積み、ビズイングリッシュコーチを設立。

  • 学習カリキュラム監修者

    デキキス・ジョー教授
    (Joseph DeChicchis)

    関西学院大学総合政策学部教授。英語習得学、英語音声学、英語文化コミュニケーション学の研究に従事。世界各国の英語アクセントに精通している。ビズイングリッシュコーチでは、英語習得学の知見を活かし、発音矯正、文法理論、スピーキングメソッドなどの学習カリキュラムやオリジナル教材の監修を担当。

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