アメリカ英語とイギリス英語、どっちが主流?発音の違い4つとリスニング攻略法

なぜ日本人はイギリス英語の発音に苦戦するのか?
英語学習者の多くが直面する悩みのひとつが、イギリス英語の発音の難しさです。特に、日本の義務教育ではアメリカ英語が中心に教えられているため、アメリカ英語に慣れている日本人にとって、イギリス英語特有の発音やアクセントは理解しにくく、聞き取りが難しく感じられます。
例えば、TOEICやIELTSなどの試験では、イギリス英語の発音やリスニング問題が出題されることがあり、思った以上に苦戦する受験生も少なくありません。
「アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いがわからない」「イギリス英語の聞き取りができず、試験対策に困っている」といった声もよく聞かれます。こうした問題は、個人の努力よりも、教育現場のカリキュラムや教材がアメリカ英語に偏っていることに原因があると考えられます。
本記事では、まずアメリカ英語とイギリス英語の発音の違いに焦点を当て、R・O・T・Aの4つの法則をわかりやすく解説します。さらに、こうした発音の違いがリスニング力にどう影響するのか、そして日本人がイギリス英語の発音に苦手意識を持つ理由についても詳しく掘り下げていきます。 また、発音の違いだけでなく、「アメリカ英語とイギリス英語のどちらが主流なのか?」という視点も取り入れ、話者数や国際的な影響、伝統的な地位といった観点から両者を比較します。これにより、学習者が自分の目的に合った英語のバリエーションを選び、効果的な学習方法を見つける手助けになればと思います。 本記事は単なる発音解説にとどまらず、アメリカ英語とイギリス英語の文化的・歴史的背景にも触れながら、受験対策や実践的な英語学習に役立つ情報を網羅的に提供します。
アメリカ・イギリス英語の発音の違いには“4つの法則”がある
英語の発音は、単語ごとの違いだけではなく、共通のルールに基づいたパターンが存在します。特に、アメリカ英語とイギリス英語では、同じ綴りでも発音に大きな差が見られることが多いです。ここでは、代表的な4つの法則について、具体的な例を交えながら解説し、それぞれの特徴を明確にしていきます。
【法則①】“R”の発音(アメリカ:母音+/r/とイギリス:母音のみ)
アメリカ英語では、母音に続く“R”を発音します。(R性母音)
イギリス英語では、母音に続く“R”を発音しません。(非R性母音)
単語 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
car | カー | カ |
air | エアー | エア |
water | ウォーラー | ウォータ |
there’s(there is の略語) | ゼアズ | ゼズ |
アメリカ英語のほうが、/r/の舌を巻く傾向が強いです。そのため、アメリカ英語だと、there’sの/r/ の発音をしますが、イギリスだ英語は/r/を発音しません。アメリカ英語では母音のあとの/r/を発音します。これを「R性母音」と言います。「R性母音」は、carやairといった語で、母音のあとの/r/を発音するR音性的な英語です。これに対し、イギリス英語では、carやairといった語で/r/を発音しない「非R音性母音」が使われます。
今回のスクリプトだと、there’sの発音はアメリカ英語だと(ðéərz)“ゼアズ”、イギリス英語だと、(ðéəz)“ゼズ”と発音します。同様に、waterのrもアメリカ英語では発音しますが、イギリス英語では発音しません。アメリカ英語だと“ウァーラー”、イギリス英語だと“ウオータ”になります。waterの“ア”と”オ”の発音の違いや“ラー”と“タ”の発音の違いについては、下記の法則②③で解説します。
【法則②】“O” の発音(アメリカ:/ɑ/とイギリス:/ɔ/)
アメリカ英語では “O” の発音を(/ɑ:/:“アー”) と顎を大きく開けて発音します。
イギリス英語では“O” の発音を(/ɔ:/:“オー”) と口を丸く開けて発音します。
単語 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
hot | ハット | ホット |
box | バックス | エア |
water | ウォーラー | ウォータ |
bottle | バラー | ボトー |
今回のスクリプトだと、waterやbottleが当てはまります。そのため、bottleはアメリカ英語だと“バラー”、イギリス英語だと、“ボトー”になります。bottleの“ラー”とトー”の発音の違いについては、下記の法則③で解説します。
【法則③】“T” の発音(アメリカ:/d/,/l/とイギリス:/t/)
アメリカ英語では、“T” の発音を/d/または /l / のような日本語のラ行に近い音で発音します。(flapT:ラ行化)
イギリス英語では、“T” の発音をスペル通りに/t/を発音します。
単語 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
better | ベラー | ベタ |
little | リロー | リトー |
water | ウォーラー | ウォータ |
bottle | バラー | ボトー |
上記のルールのため、今回のシーンで出てきたwaterはアメリカ英語だと“ウァーラー”、イギリス英語だと“ウオータ”になり、bottleはアメリカ英語だと“バラー”、イギリス英語だと、“ボトー”になるというわけです。
上記の(flapT:ラ行化)のように、ネイティブは日常的に、自分がしゃべりやすいように、音を変えて発音することが多いです。これを「音声変化」と言います。この「音声変化」を知ることで、ネイティブに近い発音ができるようになります。「音声変化」も”5つの法則”があるので、それを覚え、トレーニングするだけで発音が劇的に改善します。
【法則④】“A” の発音(アメリカ:/ae/とイギリス:/ɑ:/)
アメリカ英語では、“A” の発音を/ae/(“アとエの中間音”で“エ”に近い音)で発音します。
イギリス英語では、“A” の発音を/ɑ:/(顎を大きく開けて“アー”という音)で発音します。
※「æ」の直後に/s/、/f/、/θ/、/ð/の音が来るときに上記の変化が起こります。
単語 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
fast | フェスト | ファースト |
half | ヘーフ | ハーフ |
bath | ベス | バース |
rather | レザー | ラーザー |
glass | グレス | グラース |
映画『The Holiday(邦題:ホリデイ)』で“4つの法則”を学ぶ
発音の理論を学ぶだけでは、実際の会話で自然に聞き取ったり発音できるようにはなりません。そこで、本記事では、映画『ホリデイ(The Holiday)』のワンシーンを活用し、アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いを実践的に学ぶトレーニング法をご紹介します。
実際のネイティブスピーカーの会話を通じて、発音の違いがどのように表れるのかを体感し、リスニング力と発音力の向上を目指しましょう。
『ホリデイ』は、休暇中にお互いの家を交換する「ホーム・エクスチェンジ」を題材にしたロマンティック・コメディです。ここでは、アメリカ人女性アマンダ(Amanda)が初対面のイギリス人男性グラハム(Graham)を飲みに誘うシーンを取り上げます。
発音の違いを 知識として理解するだけでなく、実際に使えるスキルとして習得したい方は、下記の動画をぜひご覧ください。
アメリカ・イギリス英語の発音を身に付けるトレーニング動画↓
この動画は、旧ブランド「The DooR」にて作成した音声変化の解説動画です。現在は「ビズイングリッシュコーチ」として運営しております。アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いを理解することで、リスニング力が飛躍的に向上します。 ぜひ動画をご活用ください!
映画を使った学習が効果的な理由
映画を活用した英語学習には、多くのメリットがあります。まず、実際の会話のスピードやリズムを学ぶことができます。教科書で学ぶ英語とは異なり、ネイティブスピーカーが日常会話でどのように話すのかをリアルに体感できます。
また、音声変化やイントネーションの実例が豊富に含まれているため、「連結」「脱落」「ラ行化」などの発音ルールが実際にどのように使われているのかを理解しやすくなります。
さらに、映画『ホリデイ』はアメリカ人とイギリス人のキャラクターが登場するため、それぞれの発音の違いを自然な会話の中で比較できる点も大きな利点です。単なるリスニング教材ではなく、ストーリーがあることで記憶にも残りやすく、学習効果を高めることができます。
映画『ホリデイ』のワンシーンで発音の違いを学ぶ
ここでは、映画『ホリデイ』の中から、アメリカ人の女性アマンダとイギリス人の男性グラハムが初対面するシーンを取り上げます。このシーンでは、アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いが顕著に表れています。
Amanda: Would you like something to drink? Glass of water? Tea? Wine, maybe?
(何かお飲みになる?お水?お茶?それか、ワインがいいかしら?)
Graham: I think there’s a bottle of brandy. You fancy a glass?
(確かそこにブランデーのボトルがあったんじゃないかな。一杯いかが?)
Amanda: Sure.
(是非!)
Graham: Good.
(良かった。)
この短いやり取りの中にも、アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いがいくつか含まれています。
映画のセリフから学ぶ発音の違い
このシーンでは、以下のような発音の違いが見られます。
Rの発音(R性母音と非R性母音)
アメリカ英語では、母音の後に続く「R」をはっきりと発音しますが、イギリス英語では発音しない傾向があります。
“there’s” の発音を比べると、
・アメリカ英語では「ゼアーズ」 (/ðeərz/)
・イギリス英語では「ゼズ」 (/ðeəz/)
“water” の発音も違いが顕著で、
・アメリカ英語では「ウォーラー」 (/ˈwɔːtɚ/)
・イギリス英語では「ウォータ」 (/ˈwɔːtə/)
アメリカ英語では「R」をしっかり発音するのに対し、イギリス英語では音が落ちるのが特徴です。
Tの発音(Flap Tと明瞭なT)
アメリカ英語では、「T」の発音が「Flap T」と呼ばれる現象を起こし、/d/ のような音に変化します。一方、イギリス英語では、綴り通りに /t/ を明瞭に発音します。
例えば、”water” の発音では、
・アメリカ英語では「ウォーラー」
・イギリス英語では「ウォータ」
同様に、”bottle” の発音も、
・アメリカ英語では「バラー」
・イギリス英語では「ボトー」
このように、Tの発音の違いを意識すると、リスニングの際に聞き分けやすくなります。
Oの発音(/ɑ/ と /ɔ/ の違い)
母音「O」の発音も異なります。
・アメリカ英語では、/ɑ/(「アー」)のように発音されることが多い
・イギリス英語では、/ɔ/(「オー」)のように発音される傾向がある
“bottle” の発音を比べると、
・アメリカ英語では「バラー」 (/ˈbɑːɾl̩/)
・イギリス英語では「ボトー」 (/ˈbɒtl̩/)
この違いによって、同じ単語でも聞こえ方が大きく異なります。
映画を活用した発音トレーニング方法
発音の理論を理解するだけでは、実際のリスニングやスピーキングの向上にはつながりません。負荷の低い順に トレーニングを行うことで、無理なくスキルを身につけることができます。ここでは、映画『ホリデイ(The Holiday)』のワンシーンを活用した、効果的な発音トレーニングの方法を紹介します。
① ディクテーション(Dictation)
映画のセリフを聞いて書き取ることで、発音とスペリングの関係を理解する トレーニングです。まずは、音をしっかりと聞き取ることから始めましょう。
【練習法】
- 映画のセリフを一文ずつ聞き、書き取る
- 自分の書いたものと正しいスクリプトを比較し、スペリングや音の違いを確認する
- 何度も繰り返し聞きながら、発音のパターンを覚える
② リピーティング(Repeating)
セリフを聞いた後に、一時停止して同じように発音する トレーニングです。音声をよく聞き、リズムやイントネーションを意識して繰り返しましょう。
【練習法】
- 映画のセリフを一文ずつ聞き、再生を一時停止する
- 聞いた音をそのまま繰り返し発音する
- アメリカ英語とイギリス英語の違いを意識しながら発音する
③ 音読(Reading Aloud)
スクリプトを見ながら声に出して読むことで、発音を定着させる トレーニングです。発音の違いを意識しながら、何度も練習することでリズムが身につきます。
【練習法】
- 映画のスクリプトを見ながら、ゆっくり音読する
- 発音やリズムを意識しながら、正確に読む
- 録音して自分の発音を確認し、改善点を見つける
④ シャドーイング(Shadowing)
シャドーイングは、音声を聞きながら、その内容を即座に繰り返す 言語学習法です。話者の発音、リズム、イントネーションを模倣することで、リスニング力とスピーキング力を同時に向上させる 効果があります。
【練習法】
- 映画のセリフを流しながら、少し遅れて同じ内容を発音する
- イントネーションやリズムをできるだけ忠実に再現する
- 何度も繰り返し練習し、スムーズに発音できるようにする
この順番でトレーニングを行うことで、負荷の低いディクテーションから始め、徐々に負荷を高めながら発音スキルを強化できます。映画のシーンを活用し、自然な発音とリスニング力を身につけていきましょう!
まとめ
映画『ホリデイ』を活用することで、アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いを、実際の会話の中で学ぶことができます。特に、Rの発音、Tの発音、Oの発音の違いを学び、トレーニングすることは、リスニング力を鍛える上で重要です。
理論だけでなく、実際のネイティブの発音を聞きながらトレーニングすることで、より自然な英語を身につけることができるでしょう。次のセクションでは、「アメリカ英語とイギリス英語のどちらが主流なのか?」について、多角的な視点から考察していきます。
アメリカ英語とイギリス英語、どちらが主流なのか?
英語にはさまざまなバリエーションがありますが、その中でも最も影響力のあるのが アメリカ英語(American English) と イギリス英語(British English) です。では、世界的に見てどちらが「主流」なのでしょうか?
結論から言えば、話者数や国際的な影響力の観点では アメリカ英語 が圧倒的に優位ですが、イギリス英語も 歴史的な権威や教育機関での標準語としての地位 を持っており、特定の地域では依然として主流です。
このセクションでは、 話者数・国際的な影響・教育・ビジネスの観点 から、アメリカ英語とイギリス英語の優勢な分野を比較し、それぞれの特徴を明らかにしていきます。
世界の話者数の比較
英語は約15億人の話者がいると言われており、そのうち ネイティブスピーカーは約3.7億人 です。
その中で、アメリカ英語とイギリス英語の話者数を比較すると、圧倒的に アメリカ英語の話者が多い ことがわかります。
【アメリカ英語(American English)】
・アメリカ合衆国(約2億2500万人)
・カナダの一部
・フィリピン(公用語の一つ)
・中南米の一部(ビジネスでアメリカ英語を使用)
【イギリス英語(British English)】
・イギリス(約6200万人)
・オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ
・ヨーロッパ(EU諸国の多くがイギリス英語を基準)
・インド、パキスタン、シンガポール(公用語としてイギリス英語が根付く)
話者数だけで見ると、アメリカ英語の影響力が大きいことがわかります。しかし、イギリス英語も 旧イギリス植民地や国際機関での標準語 として、一定の影響力を維持しています。
国際的な影響力とメディアの普及
アメリカ英語が世界的に広まった最大の要因の一つが、 映画・音楽・インターネットを通じた文化的影響 です。
【映画・ドラマ・音楽】
・ハリウッド映画やアメリカのドラマ(Netflix、Disney+、HBOなど)が世界中で視聴される。
・グローバルヒットする音楽の多くがアメリカのアーティストによるもの。
【インターネット・テクノロジー】
・Google、Apple、Microsoft、Facebook(Meta)、AmazonなどのIT企業が発信する英語はアメリカ英語。
・ソーシャルメディア(YouTube、Twitter、Instagramなど)でもアメリカ英語が主流。
このように、 メディアを通じたアメリカ英語の影響力は絶大 です。一方、イギリス英語は BBC(英国放送協会) をはじめとする伝統的なメディアで一定の影響を持ちますが、グローバルな拡散力ではアメリカ英語が優勢です。
ビジネスと国際機関での使用状況
ビジネスシーンでは アメリカ英語が主流 ですが、国際機関では イギリス英語が多く使われる 傾向があります。
【アメリカ英語が優位な分野】
・国際ビジネス(特に北米・アジア市場)
・テクノロジー業界(Google、Microsoftなどの公式ドキュメントがアメリカ英語)
・科学論文・アカデミック分野(学術誌の多くがアメリカ英語を採用)
【イギリス英語が優位な分野】
・EU(欧州連合)や国際連合(UN)ではイギリス英語が標準
・ケンブリッジ英語検定(Cambridge English)はイギリス英語が基準
・法律や外交関連の文書の一部はイギリス英語を基準とする
ビジネスで英語を使う場合、 アメリカ英語を学ぶ方が有利 ですが、ヨーロッパでの就職や国際機関でのキャリアを考えるなら、 イギリス英語の知識も重要 になります。
教育の標準としての立場
英語学習において、どちらの英語が標準とされるかは 地域ごとに異なります。
【アメリカ英語を採用している国】
・日本、韓国、中国、台湾(主にTOEIC・TOEFL対策)
・フィリピン(英語教育プログラムでアメリカ英語を採用)
【イギリス英語を採用している国】
・インド、シンガポール、マレーシア(旧イギリス植民地)
・ヨーロッパ諸国(ケンブリッジ英語検定が普及)
TOEICでは、アメリカ英語を基準としつつも、イギリス英語・オーストラリア英語・カナダ英語の発音がリスニングに含まれるようになっています。
一方、IELTS(アイエルツ) では イギリス英語の発音が主に使用されるものの、アメリカ英語やオーストラリア英語のアクセントも含まれる ため、受験者は多様な英語の発音に慣れることが求められます。
また、IELTSのスピーキングおよびライティングセクションでは、アメリカ英語の発音やスペルを使用することも可能 です。試験官は特定のアクセントによって評価を変えることはなく、流暢さや語彙、文法の正確さを重視するため、アメリカ英語を話しても減点されることはありません。そのため、アメリカ英語を学んでいる受験者にとっても、IELTSは十分適応可能な試験と言えます。
アメリカ英語とイギリス英語、どちらの英語を学ぶべきか?
ビジネスで使うならどちらを学ぶべきか?
【アメリカ英語が適しているケース】
・外資系企業やアメリカ市場でのビジネス
・北米との取引が多い企業(Amazon、Google、Appleなど)
・国際ビジネスの標準語としてアメリカ英語が広く使用されている
【イギリス英語が適しているケース】
・ヨーロッパ、中東、アジア(旧イギリス植民地)とのビジネス
・ロンドンに本社を置く企業(HSBC、BP、Unileverなど)
・ヨーロッパ圏でのキャリアを考えている人
アメリカ英語はグローバルビジネスの世界で最も一般的に使われています。一方、ヨーロッパ圏やイギリス系企業では、イギリス英語が優勢なこともあるため、キャリアの方向性に応じて選ぶと良いでしょう。
試験対策にはどちらが有利?
【アメリカ英語が標準の試験】
・TOEIC(アメリカ英語が主流だが、近年はイギリス・オーストラリア・カナダの発音も含まれる)
・TOEFL(アメリカ英語が基本)
・VERSANT(アメリカ英語の発音が基準)
【イギリス英語が標準の試験】
・IELTS(イギリス英語が基本だが、オーストラリア・アメリカ・カナダの英語も含まれる)
・ケンブリッジ英語検定(完全にイギリス英語が基準)
TOEICやTOEFLはアメリカ英語を基準にしているため、アメリカ英語の発音や表現に慣れることが重要です。IELTSではイギリス英語が中心ですが、近年はオーストラリア英語やアメリカ英語も出題されるため、どちらの発音も学ぶことが望ましいでしょう。
留学・移住するならどちらを選ぶべきか?
【アメリカ英語が主流の国】
・アメリカ、カナダ(多くの地域でアメリカ英語に近い発音)
・フィリピン(アメリカ英語をベースにした英語教育)
【イギリス英語が主流の国】
・イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド
・シンガポール、インド、マレーシア(イギリス英語の影響が強い)
アメリカやカナダに留学・移住する予定の人はアメリカ英語を優先的に学ぶのが一般的です。一方、イギリスやオーストラリアに行く場合は、イギリス英語の発音を重点的に学ぶと現地での適応がスムーズになります。
また、カナダの英語はアメリカ英語と非常に似ているため、アメリカ英語を学べば、ほとんど問題なく通用します。ただし、細かい発音やスペルの違いを理解したい場合は、追加で学習すると良いでしょう。
日本の英語教育とビズイングリッシュコーチの推奨する学習法
日本では義務教育を通じてアメリカ英語が主に教えられてきたため、英語学習者のほとんどがアメリカ英語の発音や表現に慣れています。そのため、 まずはアメリカ英語を基礎として学び、その後、必要に応じてイギリス英語やその他の英語を学ぶのが効率的な学習戦略 です。
ビズイングリッシュコーチでは、以下の流れで発音を学ぶよう指導しています。
- アメリカ英語の発音を学ぶ(日本で学んできたアセットを活かすため)
- イギリス英語の発音を学ぶ(IELTS対策やヨーロッパ進出を考える場合)
- オーストラリアやニュージーランド英語の発音を学ぶ(留学や移住を考える場合)
カナダ英語については、アメリカ英語と非常に近いため、特にこだわらなくても問題ありません。ただし、カナダに留学・移住する予定の人には、特有の発音やスペルの違いについて指導しています。
この方法で学習することで、日本人が効率よく英語の発音を学び、国際的に通用する英語力を身につけることができます。
結論
学習者の目的や環境に応じて、適切な英語を選ぶのが最も重要です。しかし、英語は国際言語であり、どちらの発音も完全にマスターする必要はありません。アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いを理解し、状況に応じて適切に使い分けることが理想的です。
また、日本の英語教育ではアメリカ英語が主流であるため、基本的にはアメリカ英語を学び、その後必要に応じて他の英語を学ぶ というアプローチが、学習効果を最大化するために適しています。
どちらを選ぶにせよ、大切なのは 英語の発音の違いを理解し、実際に聞き取れる力をつけることです。次のセクションでは、発音をさらに鍛えるための具体的な学習方法について紹介します。
まとめと今後の学習へのアドバイス
本記事では、英語の発音は大きく分けてアメリカ英語とイギリス英語という2つがあり、発音やアクセントの違いによって、リスニングやスピーキングの難易度が変わることを解説してきました。また、アメリカ英語とイギリス英語の主な発音の違いを理解し、それぞれの特徴を学ぶトレーニング法をご紹介しました。
この記事の要点
① 日本人がイギリス英語の発音に苦戦する理由
・日本の英語教育はアメリカ英語が中心であり、イギリス英語の発音に慣れていない
・TOEICやIELTSなどの試験でイギリス英語が含まれるため、リスニングで苦戦する受験者が多い
② アメリカ英語とイギリス英語の発音の違い
・Rの発音(アメリカ英語は発音するが、イギリス英語は発音しない)
・Oの発音(アメリカ英語は「あー」、イギリス英語は「おー」)
・Tの発音(アメリカ英語はラ行化、イギリス英語はハッキリ発音)
・Aの発音(アメリカ英語は「エ」に近い音、イギリス英語は「あー」)
③ どちらが主流か?
・アメリカ英語は国際ビジネスや映画・メディアで広く使われている
・イギリス英語はヨーロッパ・アジアの一部地域で強い影響を持つ
・どちらを選ぶかは、学習目的やキャリアによる
④ 効果的な学習方法
・発音を理論だけでなく実践で学ぶ(映画『ホリデイ』を活用)
・ディクテーション、リピーティング、音読、シャドーイングでリスニング&スピーキングスキルを強化
⑤ どちらを学ぶべきか?
・日本の英語教育で培った知識を活かすなら、まずはアメリカ英語を中心に学ぶのが効率的
・その後、必要に応じてイギリス英語やオーストラリア英語を学ぶ
学習者それぞれに合った英語の選択
英語を学ぶ目的は人によって異なります。以下のポイントを基準に、自分に合った英語の発音を選ぶと良いでしょう。
① ビジネス英語を学びたい人
・アメリカ英語が最適(国際ビジネスの標準)
・ヨーロッパやイギリス系企業を目指すならイギリス英語も考慮
② 試験対策が必要な人
・TOEIC・TOEFLを受けるならアメリカ英語
・IELTS・ケンブリッジ英語検定を受けるならイギリス英語
③ 留学や移住を考えている人
・アメリカ、カナダ、フィリピンならアメリカ英語
・イギリス、オーストラリア、シンガポールならイギリス英語
④ どちらを選ぶべきか迷っている人
・まずはアメリカ英語を学び、イギリス英語との違いを理解するのがベスト
・特定の国や目的に応じて、イギリス英語の発音を補強する
今後の学習に向けて
発音を学ぶ際は、「理論を知る → 実践する → 継続する」 という流れを意識することが重要です。以下の学習法を取り入れることで、より効果的に英語の発音を習得できます。
① 映画を活用した学習
・『ホリデイ(The Holiday)』などの映画を使って、発音の違いを実践的に学ぶ
・ネイティブの発音・イントネーションを自然に身につける
② トレーニングの継続
・リスニング&スピーキングスキル強化:ディクテーション・リピーティング・音読・シャドーイング
・発音の違いを意識しながら練習をする
③ 日本で培った英語学習の基盤を活かす
・アメリカ英語を基本として学習し、必要に応じてイギリス英語も学ぶ
・アメリカ英語に慣れた上で、イギリス英語の発音やリズムに適応する
最後に
英語の発音は、単なる知識ではなく、実際に使うことで身につくものです。アメリカ英語とイギリス英語の違いを理解し、自分の目的に合わせた学習方法を選ぶことで、より実践的な英語力を習得できます。
本記事で紹介した内容を参考にしながら、「どの英語を学ぶべきか?」ではなく、「どうやって使いこなすか?」 に焦点を当てて学習を進めていきましょう。
これからの学習が、皆さんの英語力向上につながることを願っています。
- 独自のレッスンで
今のあなたの
英語力を見える化! - 英語習得学のプロによるレッスンで、あなたの現状の英語力を客観的に測定します。また、英語を使いたい場面や目標を丁寧にヒアリングします。
- どれだけ話せるようになる?
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シミュレーション! - 過去の受講生データに基づき、あなたの英語力の伸びを予測。あなたがどれくらい話せるようになるかが、具体的にイメージできます。
- プロが徹底アドバイス!
目標達成のために
「最適な学習法」がわかる! - 目標の英語力に到達するための「最適な学習法」を英語習得学のプロが惜しみなくアドバイスします。
プロフィール
- 専属パーソナルコーチ
瀧内俊之
(Toshiyuki Takiuchi)関西学院大学で英語習得学、英語音声学、英語文化コミュニケーション学について学ぶ。米国のエモリー大学で演劇科を専攻し、プレゼンの手法、舞台演出の研究に従事。帰国後は、ビジネスシーンやハリウッド俳優の通訳、NHKドラマで英語指導を担当。その後、大手英語コーチングスクールにて指導経験を積み、ビズイングリッシュコーチを設立。
- 学習カリキュラム監修者
デキキス・ジョー教授
(Joseph DeChicchis)関西学院大学総合政策学部教授。英語習得学、英語音声学、英語文化コミュニケーション学の研究に従事。世界各国の英語アクセントに精通している。ビズイングリッシュコーチでは、英語習得学の知見を活かし、発音矯正、文法理論、スピーキングメソッドなどの学習カリキュラムやオリジナル教材の監修を担当。