最短で英語が話せる正しい「学習順序」をプロが解説!【知識をスキルに変える英語学習法】
私たちが英語を使えない理由は、言語学で明らかになっている。
「中学高校で英語を6年も勉強してきたのに、英語を話せないのはどうしてだ?」そう思ったことはありませんか?
言語学の一分野である第二言語習得研究の知見を利用すれば、この質問に答えることができます。
※第二言語習得研究「Second Language Acquisition(SLA)」とは、学習者がどのように外国語を学ぶかというプロセスを心理学、言語学、教育学などの観点から科学的に解明する学問です。どのように、指導すれば、外国語を効率的に習得できるかという教授法も含まれます。
英語の習得には効率的な学習順序がある
第二言語習得研究では、言語習得は以下の順序で学ぶのが効率的とされています。
知識(文法や語彙)→ 受容スキル(読む・聞く)→ 産出スキル(書く・話す)
聞いたり読んだりする能力のことを受容スキル(receptive skills)、話したり書いたりするスキルを産出スキル、(productive skills)と呼びます。受容スキルが十分でない方が急にの産出スキルの練習ばかりしても学習の効果はあまりないです。当たり前ですが、人はインプットしたものしかアウトプットできません。自分の知らない単語や文法内容を話せるわけがないからです。
大量のインプットによって英語力は効率的に上がる
第2言語習得研究の世界では、英語上級者でインプット(読む、聞く)とアウトプット(書く、話す)の学習比率は8:2、中級者以下は7:3の割合が一番効率的としています。つまり大量のインプットを行うことが英語を話せるようになる最も近道なのです。
英語学習は知るためでなく、使うために行う
それでは、どのようにインプットの学習をすれば良いのでしょうか?まず、単語・文法・発音の知識を使える状態にすることで英語が話せるようになっていきます。日本人は、受験勉強で単語と文法の知識があっても話せない方が多いです。知識を使える状態にすること、これを「自動化」と言います。
例えば車の運転をするとき、運転の手順を知っていても、実際にスムーズに乗りこなせるまでには時間がかかります。ハンドルの動かし方やミラーを見たりする動きを覚えるには、最初はその動作に意識を集中しないとうまくできません。しかし、繰り返し練習すると無意識的にできるようになってきます。これが自動化です。
英語も同じように、文法を知識として知っているだけでなく、使える状態まで自動化させることが重要です。
それでは、文法を使える状態にするには、どのようなトレーニングが有効なのでしょうか?
文法の自動化には瞬間英作文(瞬間的に日本語から英語にするトレーニング)が最適です。
知識としては入っている英語も、実際に使うとなるとどう引き出すかがわからない、時間がかかる、という現状課題に対して、引き出す時にイメージと文(構文)が瞬時に転換できるよう鍛えていけるからです。今まで使ってこなかった脳の回路なので、最初は難しいですが、鍛えられることでこの切り替えは速くなり、英語が使える状態になります。
英語を英語のまま理解するネイティブの「英語脳」をつくる
英語コーチの筆者は、英語を最短で使えるようにするために、さらにトレーニングの精度を上げています。それはネイティブの「英語脳」をつくるということです。従来の教育では、英語をとにかく、日本語に訳すという訳読が進められてきました。例えば、be動詞は「です。ます。」と訳しなさいと習うわけです。それでは、使える状態になるはずがありません。例えば、次の文章では、
Tom is tall. 「トムは背が高いです。」
英語→日本語→意味を理解(映像化)となり、英語の意味の理解に時間がかかります。さらに背が高いですという日本語の語順で理解しようとするため、返り読みする場合もあります。これはあまりに非効率です。ネイティブは英語を日本語に訳すことはしません。実際に、ネイティブは「be動詞」を「説明するよ!」と考えています。
ネイティブは、Tom「トムは」 is「説明するよ!」 tall「背が高い」というように、前から意味をイメージして会話しているのです。 このように、ネイティブの「英語脳」を身につけると返り読みがなくなり、英語を英語のまま理解できるので、最短最速で英語のインプット・アウトプットができるようになります。
英語を日本語訳してしまうと「間違った」意味の英語になる
ネイティブの「英語脳」を持つと、正確に英語の意味内容を瞬時に理解できるようになります。逆に、英語を日本語訳する従来の思考法では、誤った英会話をしてしまうので、注意が必要です。下記の現在分詞を含む次の例文を見てみましょう。
Tom is eating lunch with his friends. 「トムは友人達とランチを食べている」
あなたは中学や高校で「ingは〜していると訳しましょう。」と先生から教わったと思います。実は、これはかなりまずい理解の仕方です。次の文の意味はどうでしょうか?
The car is stopping now.
もし、上記の解釈の仕方だと「車が今止まっている」という意味になります。実際に、個別レッスンで指導していると、9割以上の受講生がこのような訳を言います。しかし、これは間違いです。
ネイティブは現在分詞を動作の途中というイメージで使っている
ネイティブは現在分詞を動作の始まりから終わりまでの「動作の途中」というイメージで使っています。つまりstoppingは「動いている」始まりの状態から「止まる」までの終わりまでの動作の途中という意味です。ブレーキを踏んで、車のスピードを緩めているイメージですね。
The car is stopping now.「車は今止まりつつある」
というのが正解になります。日本語の「ーしている」は普段繰り返し行うことを指しているため、このような誤った理解をしてしまうのです。
マクドナルドの広告の現在分詞の使い方
英語コーチの筆者は、英語コーチングのサービスを改善するため、言語学の専門家である関西学院大学の今西准教授にお話を伺うことがよくあります。今西先生は、現代は、現在分詞の使われ方が変わってきているとお話しされていました。マクドナルドの広告でよく下記のフレーズを聞きますよね?
I’m loving it!「それを好きになりつつある」
「love」は愛するという状態動詞で本来、動作の始まりと終わりがありません。しかし、「ing」をつけることで一時的に好きになりかけている状態を表すことができます。「ing」が動作や一時的な状態の途中だというネイティブの思考が身につくと、「マクドナルドの広告がおもしろい、キャッチーだ」とわかるようになります。
文法のトレーニングでは生徒がネイティブ脳を身につけることを重視しています。ネイティブの英語脳を身につけるトレーニングをやってみたい方は、是非、下記の動画をご覧ください。
英語脳トレーニング(過去分詞)の解説はこちら↓
まとめ
リスニングやスピーキングができるようになるには、単語や文法がまず大事だということがお分かりになったと思います。TOEICで高得点をとることにおいても単語や文法の重要性は同じです。是非、文法の基礎を学び、瞬間英作文で使える文法を身につけましょう!
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